7月号のニュースレターの最後の編集をしています。

何度も何度も校正をして頂くので、デザイン会社の担当の方には

「いや、ほんとに、いつもいつもごめんなさい・・・泣)」と頭が下がります。

 

最近になってやっと「マネージャー」と呼ばれて自分でもしっくりとくるようになってきました(笑)

と、申しますのも、私がここ吉本歯科医院にやってきて6年が過ぎました。

 

歯医者さんでもなく、歯科衛生士さんでもなく、歯科の経験も何もない、それこそ「えっ?歯って抜けたらまた何度も生えてくるんじゃないんですか?」ってまじめに質問してたくらいの素人です。

 

それまでは、「人材教育」という全く違う仕事をしていた中で、いきなり「はい、マネージャーよろしく」となっても、誰も私をそんな風には見てくれませんし、誰も認めてはくれません。

 

まあいいとこ、「また、院長の奥さんがでしゃばってきたわ」というところでしょうか(笑)

自営業の場合、経営者の妻や身内が中途半端に経営にかかわると

働く社員側は、嫌な場合がほとんど、です。

 

どうせかかわるなら徹底的に関わらなくては、受け入れてはくれないんですね。

何事も、半端はいけない。

やるなら、責任もってやる

やらないなら、やらない

です。

 

 

2年ほどまえ、ちょうどこの「母性型経営」を実践し始めた頃から、私の意識は180度変わりました。

 

いわゆる「覚悟を決めた」「腹をくくった」という感覚でしょうか。

 

この病院は私が守る!うちのスタッフは私が守る!院長の想いを中のスタッフに、そして多くの患者さんに伝えてみせる!こんな熱い想いと、頼まれてもないのに(泣)妙な責任感がが私の中に湧き上がってきたのです。

 

ひとたび着火すると、その勢いは早いので(笑)それから今までの約2年間は、振り返って考えてみると「ほとんど何をしたか覚えていない」ほど、夢中で走っていたように思います。

 

しかし、その過程は「苦しい」とか「大変」とか、「努力」という感じはまったくなく、ただひたすら目の前の事に(事件に??)、そして人に、必死で向き合ってきた、そういう感じです。

 

恍惚の時間だったと、思います。

 

それほど、私だけでなく、院長はじめスタッフ全員がその日一日1日を集中しきっていた、そう思います。こうしたい!という 方向がはっきり見えていたことと、みんなと一緒にこういう風になっていきたい、という理想のイメージが明確に見えていたので、迷いはなく、そういう意味ではギュンギュン走ることができたかな、そう思います。

 

もちろんその夢中の2年間の中には子育てもあり、家庭もあり、いろいろあったわけですが、私の場合は、ひとつのことに集中することで、すべてのことがうまくまわっていきました。

 

全ては繋がっていることを実感した瞬間でもあります。

 

さて、マネージャーとは、一体なんぞや?(笑)

 

最初は私だって、何だかよくわかっていませんでした。

 

しかし、今となっては、はっきり言えます。

 

当院のような専門的な仕事の場合、それを行う専門家にはかならず、マネージャー的な存在が必要である、ということが。それはつまりは「女房役」のこと、です。

 

母性型経営の中にも、この「トップのそばには女房役を」という考えがしっかり、あります。

 

吉本歯科医院では、医療と経営ということをはっきりわけて考えています。

院長吉本彰夫は、医療、医学の専門家として、患者さんの治療にあたります。

そして、医療以外のあらゆること、いわば、経営、経理、人の教育、啓蒙活動、トップの理念の浸透、地域への活動、こういったことをマネージャーである私に全面的にまかせてくれています。

「まかせたからには口は出さない」と決めたところが我が院長の立派なところでしょうか(笑)

まかせたと言うくせに、口は出すわ、お金は出さないわ・・・というのは最悪のパターンですね(--)

 

そして、そのことにより、非常にバランスのいい吉本歯科医院が出来上がってきたのです。

 

世の中には専門家といわれる人がいます。

お医者さん、弁護士さん、建築家、デザイナー、いろいろありますよね。

いわゆる、「先生」と呼ばれる方です。

 

専門家が話す言葉は、非常に高度で、質の高い知識であったり、情報であったりします。

しかし、残念ながら専門家の先生が、「素晴らしい!あの先生は」と受け手に認めてもらえるためには、専門家が話す言葉が、受け手に「確実に伝わるかどうか」にかかっています。

 

どんなに素晴らしいことを話しても、書いてもその話が受け手に「伝わらなかった」としたら、その専門家は、残念ながら受け手にとっては「価値のない人」「私には関係のない人」と受け取られてしまいます。

 

人に伝えて、理解してもらえてはじめて受け手にとって、また、社会にとって「価値のある存在」として認めてもらえるわけです。

これは専門的なお仕事をされている方以外でも、全く同じですが、

「会社を経営する」ということは、つまりは、「社長の想いをいかに伝えていくか」にかかっている、そう思います。

伝える相手は、まずは社員であり、その次にお客さんです。

この順番を間違えると、えらいこっちゃなので、もう一度(笑)

 

まずは社員に伝える

その次にお客さんに伝える

 

最近はよく、士業と呼ばれる専門家の方とお話させて頂く機会が多いのですが、やはりどの方も同じように、「専門家である自分の想いを100%理解して、そのことを一般の方にわかるように翻訳して、私の代わりに伝え、発信してくれる存在が欲しい」と、おっしゃられます。

私は、専門的なお仕事をされている方には、「マネージャーを持つ絶対いいですよ」とお話します。

女房役、秘書役、です。

どんな組織だって、人で構成されています。

吉本歯科医院で考えたら、どんなに院長が素晴らしい医療を提供できる人だとしても、その考えや技術や、医療に対する想いがそれを受け取る患者さん側に正確にわかりやすく伝わらなかったとしたら、残念ながらなかなか広がっていくことは、難しい、そう思います。

今みたいに経済がドーンと落ち込んでいるときに、組織をきちんとまとめないといけないときは、どうしても母性の原理がバランスを取るために必要なんだと思います。

経営者と社員は家族、運命共同体。

そして、会社は人を育てる場と考える。

そして組織は人で構成されているので、その人をまとめ、やる気になってもらい、安心して能力を発揮してもらうことがとても大事なのですが、それを専門家であるトップ一人に全部やってということは難しい、そう思いませんか?

吉本歯科医院でいえば、スタッフ一人一人の細やかな感情をきちんとキャッチして微調整をしていく、そんな役目がマネージャーの仕事でもあります。

しかし、それはなかなか男性には、難しいですよね?(笑)

また、歴史をひも解いてみたときに、一番生きるか死ぬかを味わってきたのは戦国武将たちです。

戦国武将の生き抜いてきた人の影には、必ずそばに女房役、いわば母性が居ました。

必ずリーダーを補佐する女房役、今なら横文字でマネージャー。

全体が見られてさっと察することができる。

部下の気持ちが分る。

そういう女房役が存在していたから、安心してリーダーは外に出て行くことができる。

今の日本の組織の中には男性だけが入っていますから、そこの微妙な感覚が分らないことが、多い、そう思います。なのでやはり、うまくいっていると思っても、ある日突然すとんと落ちる。

 

足元をすくわれるというのでしょうか。

社長は孤独ですというのが、当たり前のように言われていました。

でも私は、それは絶対に違うと思います。

社長で優秀で乗り切ってきた人は、必ずそばにそういう補佐が付いています。

必ずサポートしてくれます。

だから、一人じゃない。 

なぜなら人間はそんなに完璧じゃないからです。

そして人は強くして、弱い生き物だと思うからです。

自分一人ですべてを完璧になんて、無理なのです。

 

組織も同じです。
男性の経営者でしたら、自分の中に母性的な要素が足りないなあと思ったら、母性型に代わる人を、

または、母性的なことを理解できる人を自分のそばにおくのです。

そしたらびっくりするほどうまくいきます。

そして、社長は孤独なものから、社長は幸せなものに、シフトします。

 

こういうことに敏感に反応してくれるのはやはり同世代の経営者の方が多いですね。

若い人の方が、変化に対応できやすいんでしょうか、やはり。

Follow me!