こんにちは。吉本歯科医院のマネージャー吉本委子です。吉本歯科医院にお越しになられた患者さまからはよく「何か特別な教育をしてるんですか?」「スタッフがみなさんとっても親切で優しい」と嬉しいご感想を頂きます。待合室で、診療室で、そして受付で、患者さまと当院のスタッフたちが笑顔で楽しそうにお話を交わしているその表情を見ていると私はとっても嬉しくなります。まだ何も人に対する教育や、経営に対するきちんとした考え方を私たち経営する側が持てていなかった頃では絶対にありえなかった光景が今の吉本歯科医院には確かに、あります。経営者は経営だけを考えていては駄目で、「人の教育と経営は常にセット」であるべきだと改めて感じます。
いいお店やいい会社というのはその中に一歩入っただけで、一瞬で感じますよね。「ああ、何かいい雰囲気だなあ」とか「そこにいるだけで病気になりそうなほど悪く空気・・・」とか、人はなんとなく肌で感じているものですよね。
そこで働く社員がみんな親切で、笑顔がとっても素敵なことを感じたとしたら、そこに集う人すべてはなんとなく幸せな気持ちになります。
先日、私の友人と久しぶりに会った時に驚くような話を聞きました。
彼女は日本では誰でも知っているような大手企業の四国支社に正社員として勤めています。
正社員は少数で社員の8割は派遣社員だそうです。
派遣社員と正社員のやっている仕事内容は全く同じで、違うの給与や待遇です。
この不況時代で派遣社員が「はい、来月までね」というように容赦なく切られていく様子を彼女は毎日毎日、目の前で見ているそうです。残っている正社員や派遣社員たちも「次は自分か?」という気持ちはいつもあるんだそうです。どうせ切られるなら今のうちに会社のものを徹底的に使ってやろうとか、次の就職に有利なように自分が関わった仕事のデータや顧客の情報も持っていってやろうとか、聞けば恐ろしい話もどんどん出てきます。ここだけ聞くと、「なんて奴だ!」と思われるかもしれませんが、働いている人達の心の中からこんな醜い気持ちを引き出してしまったのは実は経営者の責任です。
自分さえよければそれでいい、会社さえ利益を上げらればそれでいい、そういった経営に対する考え方があれば、同じようにそこで働く社員たちも同じ気持ちになってしまうんだと思います。
まさに個人主義や利益中心の資本主義の考え方です。
こんな考えが少しでも経営者の中にあったとしたら、そこで働く社員が安心して働けるはずも、ありません。
またそれを自らやっている経営者自身が幸せになれるはずも、ありません。
母性型経営とは簡単に言うと何?と申しますと「本来ひとがあるべき姿」で人生も経営もしていこう、ということに尽きます。
会社は利益を追求するとこと、です。もちろん理屈ではそうです。
しかし、仕事は、それをすることで幸せになる人がいなければそれはやはり、おかしい、と思うのです。では、幸せって何でしょう?って思った時、「お金がいっぱいあること」「やりがいがあること」「大好きな人に囲まれていること」などいろいろ価値観があると思います。しかし、私が思う幸せとは、「いつも誰かと何となく繋がっている感じ」「隣の人を信じられる」という安心感で満たされている時だと思うのです。
今、家族だって、職場だって、もしかしたら恋人同士だって、「自分は一人なんじゃないか?」と思っていたりします。どんなにみんなでお酒を飲んで盛り上がっていてもどこか心の中に空しさや孤独感を感じている、そんな時代です。でも、私はあえて思うのですが、本当はみんな人間は誰だって、人間を信じたいと思っていて、隣で働いている仲間ともっと心で繋がりたいと思っている。当たり前のことかもしれませんが、男性は女性を大好きだし、女性は男性を大好きで、自分とは違う人間をもっと信じたいし、深く関わりたいと思っているんですね。人間だって生物ですから。人と繋がっていないと実は生きていけないのが人間です。だけど今という時代に限っては、その本質的なところが全て崩壊しつつある、と思うのです。人と人との繋がりが人間にとって、大きく言えば組織にとってどれほど大事なものかを全く忘れてしまっているのが、今問題になっている「人切り」であったり、「効率優占」であったり、「機械化」であったりします。経営者は今という厳しい時代だからこそ、そこで働く社員を心から大事にし、そしてそのことによって自分自身も満たされ、満たされたあふれる思いでもって社会に対してどんどん貢献していくことが、とてもシンプルな道だと私は思います。ただ、大事にするといっても、単に甘やかすとか、給料をあげるとか、そんな話ではありません。私は吉本歯科医院のスタッフは自分の家族だと思っています。その想いが通じるには時間がかかるかもしれません。でも、今いるスタッフはすべて自分の家族と同じです。お腹がすいたら、みんなでわけて食べたいし、もし、食べ物が少なくなったからといって、「じゃあ、食べ物少なくなったから、だれかを追い出そう」という思考には絶対なりません。だって、家族ですから。どんなに貧しくてもお腹がすいても自分の子供を追い出して自分が満腹になりたいなんて発想、絶対しませんよね。その感覚と同じです。では、利益は?と、申しますと、私たちの経験則からいえば、「きちんとしたことをちゃんとやっていたら利益は後からついてくる」。これはどこかの立派な本に書かれていそうな理想論ですが、どう考えてもそうとしか思えないので敢えてこう言います。それに、実は利益をちゃんと上げたいと思ったら、中をきちんとあたためた方が2年、3年後を考えた時にはよっぽど効率がいいんですね(^^;)子育てと同じで、一番大事なところを手を抜いたら後で大変!という感覚と全く同じです。
次回からは吉本歯科医院での「母性型経営」をちょっと具体的にお話させて頂きますね。
■ 患者さまに満足して頂くための接遇教育はどんなことをしているのか?
■ 吉本歯科医院を大好きになって頂くために私たちがいつも考えていること
■ 規則で縛るのではなく、信頼関係で包みこむ
■ 問題が起こった時はチャンスと考えられる職場の雰囲気を作る
■ 協調性のある人だけを採用し、採用したら徹底的に大事にする
こんなことを書くと誤解をされそうですが、あえて誤解を恐れず書いてみます(^^;)
私たちは人間です。人間はみな例外なくお母さんから生まれました。ですよね?たぶん(笑)人は、まずは母性的なものからスタートしています。
そして、人の成長には男性的な父親の役割と、女性的な母親の役割が必要です。
実際に子育てをされてこられた方なら実感として感じていることだと思いますが、子どもにとって最も必要なことは、「自分の存在は認められている」という大きな安心感です。
そして、それは人が人として生きていくための全ての基盤となります。
その基盤である安心感があってはじめて、外の世界への好奇心や新しいことにチェレンジしようと冒険的な意欲が子どもの中に芽生えてきます。
うちの子供も、公園で遊ばせている時に、遠くにいてもちゃんと視線の届くところで、
「見ている」と、子供は安心して、いろいろな遊具にチャレンジしていきます。
高いところだって、ちょっと危なそうなところだって、ぐんぐん進んでいきます。
面白いのは、ちょっと遊んだら、チラッと私の方を見て、「ちゃんと見ているかどうかを確認」するのです(^^;)
そして、目を合わせてニコッとして、「ちゃんと見てくれていることを確認」できたら、今度はもっと
難しそうな遊具にチャレンジし始めます。
何度も何度も、私の姿を探しながら、確認しながら、少しづつ遠くに遠くに離れていくのです。
これは上の子も下の子も同じです。
どの子供も同じです。
そして、少しでも私の姿が見えなくなると、途端に不安な顔をして、遊ばなくなります。
お母さんを探しだすのです。
不安な顔で。。。
そして、見つかるとまた安心して遊びに行きます。
子供って見てたら本当に面白い、です。
子供との関係の中には、人間関係のエッセンスの全てが凝縮されているような気もします。
人が人として最高の状態で生きていくことができるには
何を置いても「安心感」ありき、なんだと痛感しています。
そして、この安心感は「◯◯ができるから誉める」といったような条件付きのものではなく、「わが子はどんなことがあってもすべて私の大事な子」という無条件のものでなくてはなりません。
無条件で自分の存在を肯定され、その安心感の中で育った子供は、ほうっておいても好奇心が芽生え、「やる気を出せ」と言われなくても、自ら考え、行動を起こします。
大人になっても自分の心の中に、好奇心が溢れ続けているので、「やりたいことがない」といったことなど起こるはずもありません。
人間を育てるには、まずは順番があります。
今は、明らかにその順番を間違えていると思います。
まずは、「安心感」ありき、です。
そして、その安心感の前提になるのが、子どもの存在を無条件に肯定すること、つまり「私の子供はどんな子であっても、大事」という母性的な心で接すること、です。
子供を育てるには、まずは理論理屈よりも母性が必要です。
そして、存分に自分の存在を肯定され安心感を得た子供は、はじめて好奇心やチャレンジする意欲が芽生えてきます。
そうなってきた時になってはじめて男性的な「おいっ、ここはちゃんとこうするんだ!!」というような父親の出番がやってくるのです。
これって、組織の中と全くおんなじですよね(^^)
心の安全基地、つまり安心感をその人の心の中に作ってあげる、ということが何よりも最優先することなんだと私は思います。
それがないのに、その上に何を乗せても無理、です。(←言いきっちゃえ(笑)
自分が本当に大切にされた実感がある人は、人を大事に親切にすることができます。
逆に、自分が大切にされた実感がない人に、どんなに「お客様を大事に!笑顔で!」なんて
押し付けても、無理、なんです。
自分が体験したことしか、再現することなんてできません。
それをどんなに知識で頭に詰め込んでもできっこないんですね、悲しいかな(泣)。
体験こそが全てです。
生み育て、「安心感を築き」そして守り続ける、そうした母性型人間優位の、母性的な生命力に満ちた社会に戻っていけば、そこで生きる私たちも少しはこんなに息苦しい社会ではなくなるはずです。
母性型の経営、今という時代にこそ必要な考えだとすっかり確信しちゃっています(笑)。
最近は、どこに行っても誰と会ってもこんな話ばかりしているのですが、
意外にも私よりもこの話に盛り上がってくれる方が多く、とっても嬉しいのです。
わかってくれそうな人としか会っていないし、わかってくれそうなところにしか行っていない、という事実はありますが(笑)

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